第17回 10年夏の地区大会を振り返る  ~九州地区編~2010年08月07日

今年も九州は投手王国だった

今年の九州を象徴する投手・島袋(興南)

2007年夏の佐賀北以来、春夏のいずれかで甲子園を制している九州勢。
その要因として考えられるのは、昨春の清峰や今春の興南のように、各地にドラフト候補と目されるダイヤモンドの原石が散りばめられていること。
また、彼らを擁するチームが各県をリードすることで、その他のチームが彼らに追いつき追い越そうと努力や工夫を重ね、次第に驚異的な力を備えていくこと。さらに九州監督会などで、指導者レベルによる情報交換が積極的に行なわれていることも大きいだろう。

かくして近年の甲子園で対戦相手に一種の“恐怖”を与えている人材の宝庫には、今年も数多くの魅力的なスターが踊った。。

とくに投手だ。検証甲子園でも紹介した田中太一(大分工)は明豊を破り見事に甲子園を決めたし、その田中に敗れはしたが山野恭介(明豊)も見事な復活を遂げた。佐賀では左腕の宮島勇二(多久)が1試合19奪三振を奪うなど猛威を奮い、同じ左腕の浜田智博(宮崎工)と比較されながら注目を集めていた坂元悠貴(延岡学園)が宮崎を制している。

今夏の甲子園に出場する2年生・森達也(西日本短大付)を筆頭に、福岡ではキレの良いストレートとチェンジアップを武器とする左腕が割拠した。坂田将人(祐誠)は春の九州大会佐賀北戦で演じた19奪三振が目立ちすぎて、三振のイメージばかりがひとり歩きしている感もあるが、ボールそのものは非常にクオリティが高い。

そして忘れてはならない沖縄の両雄、島袋洋奨(興南)に宮國椋丞(糸満)である。彼らはきっちりと決勝で顔を合わせ、完成度と素材とでぶつかり合ったのだ。島袋にいたっては、ここで列挙した好投手の中でもやはり群を抜く存在だった。彼は沖縄県民の悲願を成就するため、高校生活最後となる甲子園のマウンドへ向かうはずだ。

 

島袋を頂点に戴く投手王国、九州。向かった球場の先々で、これでもかと好投手が沸いて出てくる。
1、2年生にも好素材が多いため、この現象はさらに継続されていきそうな気配である。



(文=加来 慶祐


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プロフィール

加来慶祐
加来 慶祐
  • 生年月日:1976年4月2日
  • 出身地:大分県竹田市
  • ■ 東京で雑誌編集者、広告営業などを経験した後、2005年にフリーライターとして独立。2006年に拠点を九州へと移す。その後は沖縄を含めた九州全域、西日本エリアで野球を中心としたスポーツ取材を行なっている。
  • ■ ウェブでは『高校野球ドットコム』に九州・沖縄を中心に寄稿。書籍では、『週刊ベースボール』、『ソフトボールマガジン』(ベースボールマガジン社)、『アマチュア野球』、『輝け甲子園の星』(日刊スポーツ出版社)、『野球小僧』(白夜書房)、『ホームラン』(廣済堂あかつき)などに寄稿。
  • ■ 繊細で無限の戦略性を持つ野球。その中に呑み込まれていった人々が織り成す試合の機微を、つぶさに観察している。
  • ■ weblog:『ロチオスタジアム

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