2010年07月27日 明治神宮球場

関東一vs修徳

2010年夏の大会 第92回東西東京大会 決勝

優勝旗を持つ本間主将

劇的決着、関東一が逆転サヨナラで2年ぶり5回目の甲子園掴む

 勝者関東一にとっては劇的、そして敗れた修徳にすれば、あまりに悲痛なラストシーンとなった。甲子園を目指す戦いは、その頂点が近づけば近づいてくるほど、ドラマチックなものとなり、それは敗者にとっては辛い現実となる。この夏も、何度かそんなシーンを見せつけられたが、その中でも強烈なものとなった。

 1点を追う修徳は7回、六番藤谷が巧みに一二塁間を破って出ると、盗塁失敗で挟まれながらも相手送球ミスで二塁へ進む。さらに、根本の送りバントが一塁悪送球となり二走が一気に生還。なおも、2死二塁としてから九番飯野が左翼スタンドへ打ち込む2ランで一気に逆転。さらに2死後、二番植竹が中前打で出ると、菊入が左越二塁打して4点目を追加し、三ツ俣も中前打でこの回5点。
修徳としては、相手の二つのミスに乗じて同点としてその後に一発が出て、さらに打つべき中軸が連打して追加点という理想的な展開となった。それまで、やや攻めあぐんでいた感もあっただけに、これで試合の流れを引き寄せたかに思えた。

 しかし、関東一も粘った。7回は2死走者なしから代打柏原が右中間二塁打すると、続く一番山下が左前タイムリー打で代走岸村を迎え入れた。8回にも2死走者なしから、五番本間が右越三塁打すると、続く羽毛田がしぶとく右前打して2点差とした。この回が始まる前、ここまで踏ん張ってきた修徳のエースで四番の三ツ俣の足が攣り、少し治療時間をおいてマウンドに立ったが、気力で二者を抑えたものの、力尽きる形でマウンドを降りた。修徳にとっては、少し厭な感じがした時でもあった。それでも、リリーフした2年生の高橋はしなやかに投げ込んで3球で三振。見逃しとした低めのストレートは角度もある138km/hの威力のある球だった。

 修徳としては、何とか逃げ切れるというより、逃げ切って欲しいという思いであったろう。ただ、出来れば、9回に1点でも2点でも追加しておきたいところだったが、四球後に菊入の安打が出ながらも、三ツ俣は右飛に倒れた。打った後も、足を引きずるように走っていた三ツ俣はその裏、一塁の守備につくことなくベンチに下がった。マウンドは、高橋に託すことになった。

 先頭打者を抑えれば、という思いもあったが、甲子園への執念は関東一も負けていない。この回先頭の八番伊藤が右前打すると、代打船越も左前へはじき返して一二塁。こうなると押せ押せムードの関東一だったが、一番山下の打球は左打者独特の左翼線へ切れていくものとなる二塁打で、二者が帰って同点。さらに中継も乱れて三塁へ進み、一気に逆転サヨナラという場面になった。

 苦しい高橋投手だったが、攻めていこうという気持ちを示すべく内側を攻めたが連続死球で満塁。絶体絶命の場面を残して、下手投げの須郷投手につなぐことになったがその二球目、四番宮下の打球は遊撃手の横を抜けて中前へ転がるサヨナラ打となった。

 歓喜のホームインの関東一だったが、修徳の選手はその場にうずくまった。“あと3人”打ち取れば、甲子園を掴み取れるはずだった。しかし、そのあと3人を打ちとれず、ほとんど手元まで手繰り寄せていた甲子園切符を手放してしまった修徳

 結果として、敗因はいくつもあるだろう。責められるべきところもあったかもしれない。
しかし、重い口を開いた鳥山泰孝監督の言葉がすべてを物語っていた。「三ツ俣のコンディションを監督として整えきれなかったこと、三ツ俣の代え時が遅れたこと。それは、そんな状況でも三ツ俣に頼らざるを得ないチームだったこと、それらすべては監督の責任だと思います。これだけ一生懸命やってきた選手たちを甲子園の舞台に立たせてあげられなかったことは申し訳なく思っています」。

 涙にくれながらも、チームの大黒柱三ツ俣大樹の、「こうやって逆転されて勝てなかったことは悔しいですが、仲間を信じあえたことはよかったです」と気丈に応えていた姿がいじらしかった。
鳥山監督も、「ボクの目指すチームは出来つつあるとは思うのですが、まだ、何かが足りないのでしょうか」と、就任3年目。
今の3年生たちとともに新生修徳を作り上げてきて、その集大成としての甲子園という思いもあったのも正直なところだろう。チーム力から見ても、そのチャンスという実感もあったであろう。それだけに、指揮官もまた悔しさは募る試合だったようだ。

 2年ぶり5回目の甲子園を掴み取った関東一は、米澤貴光監督としても春夏通じて3度目の甲子園となる。「選手が一丸となって、本当によくやってくれたと思います。5点取られても諦めないでいられたのは、練習でも常に9回裏に逆転し様という気持ちでやってきたからです。次の打者、次の打者へつないでいこうという思いがつながりました」と、日頃の練習への思いが成果となった喜びを素直に表した。先発の白井が何とか持ちこたえて、リリーフした井手の気合の入った投球も最後の逆転サヨナラを呼び込む要素となった。

 本間諒主将は、「宮下には最後、お前が決めて来いといってみんなで送り出したんですが、本当に決めてくれました。みんなのおかげで甲子園へ行けます」と、チーム一丸の思いと感謝の気持ちを表した。
夜には、プロ野球のナイターがあるということで11時プレーボールとなった試合は、ギラギラと照りつける真夏の太陽の下で、強烈に明と暗を描いて終わった。

(文=手束 仁

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